3.11以来、世界観が変わってしまった。
世界そのものは変わっていないはずだが人々の世界の見方が変わったのだ。
今日からは地球が太陽の周りを回っている前提で、っていう感じに。
それ以前の日本は将来への漠然とした不安以外、何もかもがだいたい完璧に整っていた気がする。
もはや完璧なのが普通であり、完璧でないものは異常だった。
それが3.11以来、そういえば完璧であることがそもそも異常なんだよな~という認識に変わった人も割と多いと思う。
今までは外面だけでもきれいに見せようとしていたはずの政府や大きめの企業が、以前では考えられない暴挙をいけしゃあしゃあととやりだした。
いくら自由な民主主義国家でも一般市民は巨大な権力と資本の前では無力なのはわかりきっていたが、それら無力の弱者に対する思いやりの気持ち(があるように見せかけようとする気持ち)すら吹き飛んだようだ。
以前の私ならゲームか何かで「普通から程遠い異常な奴」「あからさまに横暴な権力」をギミック化し、笑い飛ばしていた。
それが私の芸風であり、それらを茶化して楽しむことが私のモチベーションであり、私の笑い理論の基本原理であった。
私に限らず、日本では何かに対する攻撃が多くのお笑いの物理学そのものだった。
だがもうそのようなタイプのお笑いは今後流行らないのかも知れない。
普通でないものはもはやあらゆる場所で当たり前であり、笑いにはなりえない。
いかれた権力の生み出した歪んだ世界はもはや現実であり、ブラックジョーク世界ではない。
安全地帯から対岸の火事場をおちょくるような奴は、観客の共感を得られない。
笑いの基本が根本から覆ってしまった。
このまま日本の笑いは絶滅していってしまうのであろうか?
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