自動車の「最終到達点」だと認められながらも、現行品はクソだクソだと言われ続けてきた電気自動車。
その弱点である航続距離と値段とパワーを解決するのが今後注目の新技術「レンジエクステンダー」だそうだ。
名前は仰々しいが、何のことはない「距離の上乗せ」とかいう意味だ。
ではどうやって距離を上乗せして稼ぐか?
これも何のことはない「ただのガソリンエンジン」を使うのだ。
普通のと違うのは、エンジンを走行ではなく、モーターを回す電気を作るため「だけ」に使うのだ。
これだけ聞くと、名前が大げさなくせになんら目新しい要素がないものだ。
しかし逆に言うと単純明快であり、信頼性も高いといえる。
基本的にいわゆるハイブリッド車とは電気駆動とガソリン駆動とをTPOによって高度にコンピュータ切り替えする、ハイテクかつ複雑怪奇なものだ。
しかしレンジエクステンダーはただの電気自動車に、縁日の屋台でよく見るガソリン発電機を追加して「走りながら充電可能」なもの。
ある意味、最も原始的なハイブリッド車なわけだ。
モーターを回すためだけにエンジンを使う車は第二次世界大戦以前にも存在しているし、これならちょっと賢い中学生でも作れるだろう。
(そもそも電気で動く自動車はガソリンで動く自動車より先に誕生&普及していたのだ。)
レンジエクステンダー車は自力で電気を生み出せるので、走行用のバッテリー容量は貧弱(実は最大で20キロ以下)でも大して問題ではない。
エンジンも必要な電圧を生み出すタービンを回すことだけ考えればいいので、重たい車体を自力で動かすほどの馬力は要らない。
所詮電車なのでギアチェンジ変速機も要らない。電圧を盛れば加速し、降ろせば減速するだけの話である。
バッテリーもエンジンもさほど高額なものが要らないし、構造が原始的ゆえにさほど複雑な制御や機構もいらないのでコストが抑えられ調達価格も安くなる。
純粋な電気自動車は消耗品バッテリーは嵩張るため交換に一苦労でしかも高額だが、これらは小さいバッテリーですむので費用(手間賃&本体価格)も抑えられる可能性がある。
問題はパワーだが、実は純粋な電気自動車は航続距離を伸ばすためパワーを出し惜しんでいたに過ぎないので、むしろ燃費を完全に無視すれば安物ガソリン車よりもパワフルな代物らしい。
発電用ガソリンエンジンにより、航続距離を気にせず本来のパワーを発揮できるのだそうだ。
以上の点により、レンジエクステンダー車は電気自動車の弱点「航続距離・値段・パワー」を一挙に解決する存在として今後注目だ。
結局エコ概念に反するガソリンエンジンから卒業できていないという情けなさは否めないが、純粋なガソリン車より排気ガスの類は少なくおまけにリッターあたり40キロとかいうレベルの燃費である。
整備面が厳しく本体価格も高いうえに挙動の怪しいハイブリッド車や、安かろう悪かろうの典型であるCVT車から縁を切りたいドライバーは買い替えを考えてもいいかもしれない。
ただし現状は所謂テンゴ以下のコンパクトカーベースの車種ばかりであるが。
人気が出て市場が熟成されてくれば、2リッター級のものもそのうち出てくるかもね!