現在進行中で進化が進んでいるPCパーツといえば「SSD」であろう。
かつては容量も少なく値段も高くウェアレベリング(書き込む箇所を常に分散させストレージ全体の寿命をなるべく伸ばす技術)すらなくシステム格納手段としてまるで実用性に乏しいものだったが、ものの10年も立たないうちに「重くて遅くて軟弱なHDDよりも高級なシステム格納手段」という地位を今や確保しつつあるのだから。
もはや今更言うまでもないが、現代のSSDには値段が高い奴から安い奴までピンキリである。
SSDつまりフラッシュメモリの中には「値段が高く速度も速く寿命も長い
SLC」「今もっとも流通しているが性能は低く寿命は10分の1である
MLC」「某サムンソなんかが採用する低価格だが寿命はMLCの10分の1という
TLC」といった種類がある。
またウェアレベリングの性質上「容量が大きいほどケチケチ使えば寿命が伸びるはず」のものである。
SLCはもっとも原始的な作りだがその分無理をしない作りともいえ、材料の「持て余し方」が贅沢であるとも言える存在だ。
一節ではその寿命は数十年であり、うまくやれば同じ個体をPC複数世代にも渡って使い継ぐことができうる、熱にも衝撃にも強く機械的な疲労も無いため信頼性といった面では現代において究極のストレージである。
しかしその値段は高く、実に100GB前後でちょっとした新品PCなら買えてしまうし、集積回路シミュレータのような「業務用」なら実に数百万円してしまうのだ。
MLCは2013年現在においてもっとも馴染み深いものであり、高額なSSDの原材料をSLCより派手に消耗する事で実質容量を多めに確保した代わりに処理速度と寿命を犠牲にした存在だ。
書き込み可能回数はSLCの10分の1であり、一般には「MLC個体の寿命は新品PC1台の寿命とほぼ同じ」だと認識されているらしい。
TLCはMLCの消耗を更に派手にしたタイプで、値段は安いが性能も低く寿命も更に10分の1という、
ただの粗悪品だと認識されても仕方がないいかにもサムンソ的な低価格エントリーモデルといったポジションの存在だ。
その寿命は一般的に2年程度などと言われてるが、そもそも歴史が浅いため具体的な事は分からない感じ。
さらにSSDの寿命を伸ばすテクニックとして
・ブラウザやオフィスや編集系のアプリで使うtemp(一時ファイル)用スペースをRAMディスク送りにする
・swap(RAMからはみ出た分をストレージ内部でまかなう行為)用スペースを使わない=ゼロにする
・アクセス日時を更新しない設定にする(やり方はOSごとに違うので調べよう)
・デフラグ厳禁(ていうか構造上する意味がない)といった事がよく提唱されている。
まだまだ歴史が浅く、作りの洗練されたモダンSSDの寿命に普通に遭遇したことがないユーザも少なくなく、一部では「上記テクを使えば普段の使い方ならたとえMLCでも自分が死ぬまで寿命は来ない」「いかにもCeleron搭載PCらしいブラウザ&メール&オフィス程度の使い方なら寿命はまったく考慮しなくてよい」という説も飛び交っている。
自分が死ぬまで健在という説を信じてSLCを購入し一生の安心を得るか、一世代一MLCという感じで気楽に使い倒すか、あくまで外出用にTLCを軽量&低額の用途として雑に扱うか、といった選び方に分かれていくかもしれない。
偉そうな事を言う私はSSD未体験者である。
購入するならHDD装備のPCからSSD単品購入してわざわざ入れ替える形になると思うが、おそらく従来型PC用として
今後主流となるのはもっとも無難なMLCであろうと思われ、SLCの生産量は減少していく、ということは真っ当な新品SLCを調達するなら今がチャンスかも、だ。
TLCは安上がりなタブレットPCなど組み込み型マシンのステージで活躍していきそうな気はする。
SLCは絶滅危惧種かも知れない。しかしながら
嫌でも世の中がクラウドOSだらけになるとしたら、そもそも
そんな世の中でシステム格納用SLCは必要無いんだろうけども。
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