数少ない日本製PCケースのメーカー「abee(アビー)」が破産してしまった。
かつて星野金属から出でて、アルミ筐体を求める向きの選択肢の一つとして10年以上頑張ってきたようだがついに脱落してしまったようだ。
私は結局何一つ購入しなかったが、総じてアビーのケースは「品質と見てくれは良いが、値段と機能がダメ」な傾向があったように思う。
高機能のリアンリ、低価格のジョンスボ、青天井の汐見板金…、アルミPCケースにおいてこれらに対抗するため、アビーは「インテリアに溶け込むデザイン性とコンパクトさ」を一貫して追及されてきた印象が強い。
その代償として、野暮ったさと紙一重の機能性や品質低下が当然の低価格、倉庫を圧迫しない受注生産体制や多彩なオプションとそれを収容する拡張性などといった要素には背を向けた模様。
当初からアルミPCケースという縛りで選んでいた私の場合、リアンリには軟弱な印象を持ち、ジョンスボは安かろう悪かろうの印象が否めなかったため、アルミでありながら鉄製品並みに頑丈な印象のある日本製品(アビーと汐見板金)に絞った。
どちらも同じ高価格なら圧倒的に機能に優れた汐見板金のほうが良いということでそっちに傾いたし、今でもそれが正しい判断だったと自負している。
汐見のを購入後に別途PCケースを購入することはあったが、その時でも一応アビーの製品情報はチェックはしたものの最終候補に上ることは「一度として」無かった。
たとえ価格がさらに1万円安くても機能面でアウトな場合が多すぎたのだ。
エアフローも積載能力もメンテナンスのしやすさも競合に比べてだいぶ劣っていた。
ジサカーならノーマルにこだわらずアルミ筐体にドリルで穴を開けるなど工夫して当然とかいう変な風潮がユーザーの間で蔓延していたようでばかばかしく思えた。
アビーの独特なデザイン性に対するロイヤリティは持ち合わせていない(だからデザイン性に劣る汐見のケースが購入できる)ため、同じ手間なら安物を買って社外パーツで補強するほうがよほど無駄が無いという結論に至ったのは言うまでも無い。
晩年のアビーはついにPCケース自体新製品を出さなくなっていたようだ。
自身の強みを生かしきることができなかったのか、はたまた生かしきってもカネにならないから意欲を失ったのか、詳しいことはわからない。
アビーのブランドは他社が引き継ぐようだが、アビーを名乗るPCケースブランドの新型が華麗に再登場してくれるのかどうか、期待しないで待っておこう。
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