人間など誰一人尊敬できない

他者を軽蔑することは慎むべきであるし、他者を尊敬することは奨励されるべき行為である。
皆そういうし、そうおもっている。
なるべくそういう自分になりたいとおもうし、その思いを人前で口にするだろう。

だが私は他者を誰一人も尊敬することはなかった。
親も先祖もそうだ、近しいひとほど、自分が嫌っていない人であるほど雑にあつかってきた。
本当は距離を置きたいが嫌いな奴ほど丁寧に扱った、なんか自然にそうなった。
これが私の生まれてから今まで変わらぬ人間性だった。
正しいことだとおもっている。
これからも私はこの基本方針を改めることはないだろう。

後悔していることがある。
自分の親を尊敬している、と私立学校の受験の面接で口走ってしまった。
こういっときゃ好感度が上がるだろうと思って思ってもいないことを、リハーサルを何度かして恙なく本番で言い放った。
なお合格したが。
まったく思ってもいないことをクソガキが安易に口走ったのだ。
嘘をつくのに親を巻き添えにしてしまった、尊敬はしていないが失礼なことをしたと悔やんでいる。
私ももう大人だ、誰かさんを尊敬しているなんて口が裂けても言うまい、言わないためのトークスキルくらいは身につけておかないと恥ずかしいだろうが。

私が知っているだけで偉大な人はたくさんいるし、これからもふえていく。
だが私は、決して人を尊敬することはしない。
地球のダニごときがなんだというのか。